2015年 第64回全日本大学野球選手権 第1日

2015年6月8日 東京ドーム くもり

九産大3-0仙台大
近大工学部1-6上武大
東農大北海道オホーツク5-3富士大

最も見ごたえがあったのが第1試合。まずドラフト1位候補の呼び声高かった仙台大の熊原健人(4年・投手・178cm・81㎏・右投右打・柴田)が期待通りのピッチングを見せた。立ち上がりから145km以上のスピードを連発し、この日の最速は150km。左足を上げる時に大きく反動をつけ、そこから沈み込む少し変則なフォームだが躍動感は抜群。体重移動のスピードも素晴らしく、腕の振りの鋭さは大学球界でも1,2を争うレベルだ。腕の振りは完全に上からだが、体が横に振れるというのが気になる部分。初回になぜかストレートを多投して1点を失い、2点もボークが絡むなど細かい部分は課題。120km台後半のスライダーとフォーク、130km台のツーシームなど変化球の質も高いだけに非常にもったいない印象を受けた。クイックも1.20秒と速くなく、改善が必要だろう。それでも13奪三振と持ち味は十分に発揮したピッチングだった。その熊原を上回るピッチングを見せたのが九産大の高良一輝(3年・投手・177cm・77㎏・右投右打・興南)。ステップの幅は見るからに狭く上半身で投げているように見えるが、背筋がしっかりと伸びて姿勢が良く、それでいて力みがないのが長所。少し小さいテイクバックだが真上から腕が振れており、角度のあるボールをコーナーに集めるピッチングは安定感抜群。縦に鋭く落ちるスライダーと高めのストレートのコンビネーションは見事という他なく、スピードも最速146kmをマークした。結果は被安打2、16奪三振のシャットアウト。この日のピッチングで来年の有力候補に浮上したことは間違いないだろう。

第3試合は富士大の多和田真三郎(4年・投手・181cm・81㎏・右投右打・中部商)が故障で登板回避となったが、対する東農大北海道オホーツクの井口和朋(4年・投手・177cm・73㎏・右投右打・武相)が見事な投球を見せ、がっかりした気持ちを救ってくれた。左足を上げるときにヒールアップし、重心が上下動するフォームだが下半身に強さと粘りがあるのでボールをしっかり抑え込むことができている。この日の最速は146kmで全体的には140km前後のスピードが多いが、それでもボールにしっかりと体重が乗っており威力は申し分ない。120km台後半の縦のスライダーのキレは天下一品でカウント球と決め球を使い分けられるのも大きな長所。110km台の緩いカーブで緩急もつけられ、全てのボールでしっかり腕が振れている。昨年の明治神宮大会で見て以来常に良いピッチングを見せており、大舞台に強いのも魅力だ。東農大北海道オホーツクは野手にも良い選手が多かった。諸永秀幸(3年・2番・二塁手・178cm・65kg・右投左打・鎮西)は細身だが打撃センスは抜群。左中間へのタイムリーツーベースで流して走ってセカンド到達8.11秒と脚力も水準以上。守備の動きも良く、欠点らしい欠点が見当たらない。1年生ながら3番に座る稲村晃希(1年・3番・遊撃手・179cm・74㎏・右投左打・千葉経大付)は高校時代から変わらず攻守にプレーの形が良い。木製バットにも問題なく対応しており、スムーズな振り出しが目立った。樋越優一(4年・4番・捕手・180cm・78㎏・右投左打・千葉経大付)たくましい体格で強肩、強打いずれもレベル高い。イニング間のセカンド送球では4度1.9秒台をマークし、富士大の機動力を完全に封じ込めた。周東佑京(2年・8番・左翼手・180cm・68㎏・右投左打・東農大二)は高校時代ショートの守備名人だったが、外野手としてもセンスは健在。細身で力強さは物足りないがスイングの軌道がしっかりしており、140km以上のストレートもとらえられるミート力は出色。脚力も素晴らしい。
富士大では3番手でマウンドに上がった小野泰己(3年・投手・183cm・76㎏・右投右打・折尾愛真)が大器ぶりを見せた。明らかに下半身が弱く一塁側に体が流れるが、いきなり145km以上を連発する馬力は大きな魅力(この日の最速は147km)。かついだりひねったりする余計な動きがないため、コントロールもそれなりに安定している。この後の秋のリーグ戦では4勝負けなし防御率0.00という見事な成績を残し、西武が有力候補に挙げているという報道も出ており、2016年は更に注目を集めることになりそうだ。

他に目についた選手
上武大
鳥巣誉議(2年・2番・三塁手・177cm・72㎏・右投左打・久留米商)
打撃センスはピカイチ。内から出るスイングでヒット重ねる

中稔真(4年・4番・右翼手・184cm・84kg・右投左打・須磨翔風)
グリップ低くクロス気味のステップ気になるがヘッドスピード抜群

長澤壮徒(3年・5番・左翼手・184cm・84kg・右投右打・甲府工)
構えの力感、雰囲気十分。アウトステップの悪癖直したい。

鈴木稜也(3年・投手・187cm・87kg・右投右打・拓大紅陵)
この日の最速140km。凄みないがいつ見ても安定の大型サイドスロー

富士大
久保皓史(4年・4番・二塁手・181cm・82㎏・右投左打・佐賀商)
バット動かずトップの作り方はいつ見ても安定。リスト使い過ぎてひっかけるのは課題

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